不全骨折とは?完全骨折との違いや早く治す方法、さまざまな疑問に解答。


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骨折は事故やスポーツ、転倒などのケガなどによって、ひとつながりになっていた骨が折れる、というイメージが一般的ですが、不全骨折は完全に骨が折れず変形や骨の連続性が一部損傷した状態を指します。

ここでは不全骨折について、完全骨折との違いや早く治すための方法、さまざまな疑問集にわかりやすく解説していきたいと思います。

不全骨折、完全骨折の他には粉砕骨折というものもありますので、併せてをご覧ください。

粉砕骨折とは。原因や症状、治るまでの目安を部位別に解説します。

院長:伊藤良太
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不全骨折とは?

不全骨折とはどのような骨折を指すのでしょうか?

ここでは不全骨折と完全骨折の原因、症状、違いについて詳しくお伝えします。

不全骨折

不全骨折とはひとつながりになった骨の連続性が一部分だけ失われ、逆に他の一部分だけは連続性を保っている骨折のことを言い、一般的に「ヒビ」と言われるもので間違いありません。

超音波(エコー)で映る不全骨折です。

不全骨折はさらに、骨の連続性が完全に失われた完全骨折の軽傷型と呼ばれることがあり、

  • 同じ動き、運動を繰り返すことによって骨にじわじわと負荷がかかる
  • 加齢によって骨がもろくなり、日常生活で骨にかかる負荷に骨が耐えられなくなる
  • 骨を作る栄養の不足、減少
  • 捻挫や打撲と勘違いをしてしまい治療、施術が遅れてしまう
  • 腫れているけどもレントゲンには映らない

といった原因・症状・特徴があります。

不全骨折は連続性のある骨が完全に離断されていないため、完全骨折のような強い痛みが生じないこともあり、すぐには不全骨折だと気づけないケースもめずらしくはありません

不全骨折の治療・施術は、

  • 症状、状態に合わせた安静と固定期間
  • 痛みのレベルに合わせた鎮痛薬、湿布の使用
  • 早期の固定の除去とリハビリの開始

などが一般的です。

固定を外して、リハビリの開始時期や内容の見極めが難しいところでしょう。

リハビリについてこちらもご覧ください。

リハビリの目的や分野とは?意味あるものにするためのポイントを解説!

完全骨折

代わって完全骨折とは、連続性を保っていた骨が完全に失われた状態の骨折を指します。

下記の画像は中指の完全骨折です。

  • スポーツ、事故、転倒など強い外力によるもの
  • 強い痛み、患部の腫れ、内出血、しびれ、違和感
  • 患部の変形

といった原因・症状・特徴があります。

完全骨折は生じた部位によって2つ以上の骨片(こっぺん)になってしまうことも。

完全骨折は骨折をした部位によって患部がグラグラと不安定な状態になったり、正常とは違う方向に曲がるといった症状が見られることもあります。

完全骨折の治療・施術には、

  • 患部の安静と固定
  • 機器を用いた治療
  • 鎮痛剤、湿布の使用
  • 早期にリハビリを行い継続する
  • 患部の状態によっては手術

となるでしょう。

不全骨折より重症で、治癒までの期間も長くなります。

 

不全骨折を早く治す方法

不全骨折を早く治すために必要な方法を見ていきましょう。

骨の安定性が失われた状態の不全骨折は、早期発見・早期の対処をしないと完全骨折につながったり、回復までに長い時間がかかることもめずらしくはありません。

超音波骨折治療

超音波骨折治療は、不全骨折部位に微弱な超音波を1回20分程度当てて骨折の治癒を促す治療法です。

超音波骨折治療を受けると治癒までにかかる期間・時間をおよそ4割程度短縮できることが臨床試験からも明らかになっています。

超音波について詳しくはこちら。

骨折には超音波が良い!使用方法や効果的な理由、疑問集に解答。

日光浴

日の光には骨を作る材料となるカルシウムの吸収を促すビタミンDを生成する働きがあり、特に朝の日光浴はビタミンD生成が活発になるのです。

一日に夏で20分、冬は30分程度浴びると良いとされています。

運動や入浴で血行を促す

不全骨折を生じてからでも無理のない範囲で患部を動かしたりすることは早期回復につながるでしょう。

不全骨折時に運動をすると新しく丈夫な骨を作る骨芽細胞に刺激が加わり、回復促進につながります。

また入浴をして患部を温めることも血行が促進されて、

  • 余分な血のかたまりや内出血の吸収、排出促進
  • 組織修復に重要な酸素や栄養が行き届きやすくなる

といった効果が期待できるでしょう。

酸素ルーム

酸素ルームはダメージを受けた組織の修復・再生に働きかける酸素を体内に摂り込む施術法です。

不全骨折を生じた際に酸素ルームを利用すると、

  • 骨の再生、修復に作用する成長ホルモンの分泌が活発になる
  • 血行を促進して痛みや違和感の原因物質を押し出す
  • 身体本来が持つ回復力や自然治癒力を高める

といった効果が期待できます。

酸素ルームについてはこちらをご覧ください。

酸素ボックスとは?仕組みや効果、さまざまな疑問にお答えします

このほか、骨折を早く治す方法はこちら。

手や足の骨折を早く治す方法は?骨の回復を早める秘訣を教えます

不全骨折に関する疑問

ここからは不全骨折に関する疑問集に詳しくお答えしていきたいと思います。

不全骨折はレントゲンに映る?

レントゲンは骨折の状態を映し出せるイメージが一般的ですが、CTやMRIに比べて骨や組織の細部・深部の確認が難しいと言えるでしょう。

不全骨折は骨に小さなヒビが入った状態のため精度が弱いレントゲンではほぼ確認できないことが多くCTやMRIを使った確認が必要な場合もあります。

下記の画像も2ミリに満たないヒビでしたが、レントゲンには映らず打撲と診断されました。

超音波では明らかに骨の異状は見えるのですが…

不全骨折の全治は?

不全骨折が全治するまでには、

  • 症状に気付いてからの適切な処置
  • 年齢、体質
  • 不全骨折の範囲、状態
  • 安静や固定時間

などによって個人差がありますが、早期になると二週間で以前のように生活、スポーツができるでしょう。

長い場合では一ヶ月程度以上かかることもあるため、個人差や状態の差によって全治まで期間はさまざまです。

不全骨折は歩ける?

不全骨折は完全骨折に比べて痛みの出方が比較的少ないため、加えて捻挫打撲と症状が似ていることから、歩けるケースもめずらしくはありません。

ただ押す痛みは、強い傾向です。

骨折と捻挫骨折と打撲を見分ける方法はこちら。

捻挫と骨折の見分け方は?それぞれの対処法と疑問にお答えします

打撲と骨折の見分け方とは?見た目や症状の違い、部位別の見分け方をご紹介

不全骨折の種類は?

不全骨折には、症状や原因が異なる4つの種類があります。

不全骨折の種類をそれぞれ詳しく見ていきましょう。

  1.  骨に過剰な負担がかかることで生じ、痛みや腫れ、力が入りにくくなる「亀裂骨折」
  2.  骨の周囲を覆う骨膜の損傷がない「骨膜下(こつまくか)骨折」
  3.  亀裂を生じながら部分的に骨が折れ曲がり、子どもに多い「若木(わかぎくっきょく)骨折」
  4.  骨の長軸部分に繰り返しの圧迫力が加わり骨が押しつぶされたようになる骨折の「竹節状(ちくせつじょう)骨折」

などなど、画像診断をしないと明確には見分けられない骨折もあります。

骨折の種類についてはこちら。

骨折の種類について。性状や分類、原因や治療法などをお伝えします

【まとめ】不全骨折について

本記事では不全骨折について完全骨折との違いや早く治す方法、疑問集にお答えしました。

不全骨折は打撲や捻挫と間違えやすく、レントゲンにも映りにくいため気づくまでに時間がかかってしまうことがあります。

これまでにはなかった骨や組織の違和感に気付いたら不全骨折の可能性を考慮し、すぐに治療・施術を受け早期回復を促していきましょう。


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