腰の疲労骨折(腰椎分離症)の原因・症状は?セルフチェックと予防法を解説


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腰の疲労骨折(腰椎分離症)は、体をひねったり、背中を反らす動きが多い際に生じる骨折のことを言い、特にスポーツを日常的に行っている人に見られやすい傾向です。

長引く腰の痛み・違和感は、腰の疲労骨折(腰椎分離症)が生じている可能性も。

今回は腰の疲労骨折(腰椎分離症)の主な原因と症状、セルフで判断できるチェックポイントと予防法について解説してみたいと思います。

院長:伊藤良太
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腰の疲労骨折(腰椎分離症)について

腰の疲労骨折(腰椎分離症)とはどのようなものなのでしょうか、詳しくみていきましょう。

腰椎(写真赤丸)は、上半身を支え、体のひねりや前後左右へ曲げる際の柔軟性を維持する役割があるため、腰の疲労骨折(腰椎分離症)が生じると、スポーツはもちろん日常生活にも大きな支障になってしまいます。

ここでは腰の疲労骨折(腰椎分離症)の原因や症状、主な診断方法や治療の流れについて見ていきます。

原因

腰の疲労骨折(腰椎分離症)は、腰椎の後方部分の椎弓(ついきゅう)と呼ばれる部分が分離した状態のことを言い、

  •  スポーツを行っている小学生から高校生
  • 成長期にあるスポーツ選手やアスリート

に発症しやすい傾向です。

特に起きやすいスポーツとして

野球やテニス、バスケットボール、サッカー、柔道やラグビーなど、捻り動作が多く、しかも大きな動きが加わるスポーツに多いです。

※椎弓は緑丸の部分

症状

腰の疲労骨折(腰椎分離症)の症状には、

  • 背中を反らすと腰に強い痛みを感じる
  • 2週間以上腰痛が続いている

などの状態・症状があり、腰の一部分・狭い範囲にズキズキとした響くような痛みを感じることも。

腰の疲労骨折(腰椎分離症)は、腰椎に叩かれたような痛みのことを言う叩打(こうだ)痛や圧痛が生じやすく、癒合が遅れると将来的に腰痛椎間板ヘルニアや腰椎すべり症を併発しやすくなることもあります

そして、分離した部分も再びくっつかなくなることも珍しくありません。

診断方法

腰の疲労骨折(腰椎分離症)の診断方法には、

  • レントゲン撮影にて疲労骨折の有無を確認する
  • レントゲンにて疲労骨折が見られた場合はMRI検査
  • 腰の疲労骨折(腰椎分離症)の程度や進行を調べるCT検査

が行われます。

レントゲンだけの診断は少なく、最終的にはMRIやCTによって判別・診断される流れになるでしょう。

治療の流れ

腰の疲労骨折の治療は、

  • 運動を中止し、局部の安静を維持する
  • 腰にかかる負担を軽減するため、コルセットによる装具固定を行
  • 安静期間を十分に取った後にストレッチやコアトレーニングなどの運動療法を行う
  • 体の内側から骨折改善に良いとされる栄養、食事法の指導を受け

などの流れが一般的になっています。

患部の骨折がくっつくまでは原則運動は中止、食事面を改善しながらリハビリを行い、復帰となるでしょう。

関連記事→圧迫骨折時の座り方とやってはいけないこと、痛み軽減のために出来ること

腰の疲労骨折(腰椎分離症)でやってはいけないこと

腰の疲労骨折(腰椎分離症)でやってはいけないことには、以下のものがあります。

  • スポーツ全般を行うこと
  • 自転車に乗ること
  • 背中や腰を反る、ねじる動きを繰り返すこと
  • 就寝、入浴時以外にもコルセットを使用しない
  • 20分以上の通学や通勤歩行
  • 重い荷物を持つ
  • 長時間同じ姿勢を続けること

コルセットをつけると動きに制限が出てしまいますが、後遺症を残すことを考えるとしっかりと固定・安静にすべきです。

《今》ではなく、先を見越してしっかりと治しましょう。

腰の疲労骨折(腰椎分離症)は大人でも起きるのか?

腰の疲労骨折(腰椎分離症)は、大人でも起きるのでしょうか。

成長期のスポーツを日常的に行う年代に多いと言われていますが、一般成人でも、

  • 男性約8%
  • 女性約4%

に認められることがあります。

多いとみるか、少ないとみるかは人それぞれですね。

腰の疲労骨折(腰椎分離症)のセルフチェック方法

腰の疲労骨折である腰椎分離症のセルフチェック方法もご紹介いたします。

腰痛や不快感は頻繁に生じることも多いため、一時的なものなのか、腰の疲労骨折(腰椎分離症)なのかの見極めが難しく感じることもあるでしょう。

腰の疲労骨折(腰椎分離症)だと判断できるセルフチェック方法をまとめてみましたので参考にしてみてください。

  • 腰の骨の中央部分を押すと強い痛みを感じる
  • 腰や背中を反らせると痛い
  • しびれや鈍痛が2週間以上続いている
  • 腰を左右にひねると痛い

このようなチェックポイントにすべて当てはまった場合は腰の疲労骨折(腰椎分離症)の可能性が高いと判断できるため、早めに患部を診てもらいましょう。

腰の疲労骨折(腰椎分離症)の安静期間の目安

腰の疲労骨折(腰椎分離症)の安静期間の目安は、

  • 2~3ヶ月の安静期間
  • 安静期間後、半硬性(全面が軟性、背面がプラスチック)のコルセットを装着

半硬性のコルセットを装着しながら、患部の状態と症状をみながら次の段階であるリハビリへと進んでいきます。

腰の疲労骨折(腰椎分離症)が治らないのはなぜ?

腰の疲労骨折(腰椎分離症)が治らないのはなぜかというと…

  • レントゲン検査のみの診察で検査が不十分であったため
  • 固定や安静期間が不十分
  • コルセットの装着が正しくない
  • 栄養バランスの乱れによる骨の癒合の遅延
  • 骨が弱くなることで癒合が遅れている

などの原因が考えられます。

また腰の疲労骨折(腰椎分離症)は、あらかじめ症状や原因を理解し、早期に診断することが完治までの期間を早めるポイントです

腰の疲労骨折(腰椎分離症)を一時的な腰痛・不快感だと自己判断をしてしまい、診断や治療が遅れることも治りにくくなる原因のひとつと言えるでしょう。

腰の疲労骨折(腰椎分離症)を予防するために

腰の疲労骨折(腰椎分離症)を予防するためには生活習慣や食事、運動のポイントをお伝えしていきたいと思います。

運動量の調節

腰の疲労骨折(腰椎分離症)は、運動量が多くなり身体に筋肉に疲労が溜まると骨についている筋肉が引っ張ってしまい、金属疲労のように椎弓に骨折が起きます。

腰の疲労骨折(腰椎分離症)を予防するためには、普段からどの程度の運動や作業をしたら腰に痛み・不快感を生じるのか、また腰が痛む際の動作など、その量や自分の状態を把握しておくことも大切です。

練習量の調節は成長期の子供にとってはとっても重要な要素です。

同時に成長期の子どもは、スポーツや遊びで無理な動きをしてしまうことが多いため、親御さんは日頃から体調を気遣う声がけや動きをセーブするための注意を怠らないようにしましょう。

セルフケアとしてのストレッチ

セルフケアとして必要なのがストレッチです。

その中でも腰の疲労骨折(腰椎分離症)の予防に良いと言われている、ジャックナイフストレッチをご紹介します。

ジャックナイフストレッチは、ハムストリングをやわらかくするストレッチのひとつで、方法も簡単ですので運動後はもちろん、運動前やお風呂上がりに行ってみて下さい。

  1. しゃがんで足首をしっかりと握り、胸と太ももの前側をぴったりとくっつける
  2. 胸と太ももが離れないようにしたまま、ヒザを伸ばして10秒キープ
  3. 3~5セット、朝晩2回行います。

ジャックナイフストレッチは体が硬い成長期の子どもでも、繰り返して行くうちに手のひらが床につくようになり、ハムストリングがやわらかくなって腰の疲労骨折(腰椎分離症)の予防に役立つでしょう。

カルシウム・タンパク質を摂り、糖質を制限する

カルシウムは新しい骨を作るために欠かせない栄養素となり、タンパク質はこの栄養に含まれているコラーゲンとカルシウムが丈夫な骨の形成に働きかけます。

カルシウムやタンパク質の不足は腰の疲労骨折(腰椎分離症)のリスクを高めることがあるため、毎日3食に積極的に補うようにしましょう。

そして最も大切を言っていいほど重要なのは糖質の制限です。

糖質の過剰摂取は骨の修復を遅らせてしまいます。

完食や過食、ジュースやお菓子の摂り過ぎには十分注意しましょう。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

手や足の骨折を早く治す方法は?骨の回復を早める秘訣を教えます

【まとめ】腰の疲労骨折(腰椎分離症)は早期診断が大切!

腰の疲労骨折(腰椎分離症)は早期の発見・診断がもっとも大切なポイントになります。

スポーツが習慣になっている成長期の子どもの状態を早めに把握して、腰の疲労骨折(腰椎分離症)を未然に予防する環境・食生活にも気を配るようにしましょう。


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