肘に腱鞘炎は起こらない?症状や原因が似ているテニス肘についても解説。


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腱鞘炎はパソコンやスマートフォンの操作で手首や指を繰り返し使って酷使したことにより、腱と腱鞘という組織に負荷がかかり炎症生じる障害を言います

腱鞘炎は肘下全体にも引きつるような痛み、しびれ、違和感が出やすくなりますが、実は肘に腱鞘炎は起こらず、多くの場合は「テニス肘」と判断して良いでしょう

ここでは肘に腱鞘炎が起こらない理由や仕組み、痛みや原因が似ているテニス肘について、さまざまな疑問にお答えしていきます。

腱鞘炎についてはこちらよりご覧ください。

腱鞘炎は安静だけでは治らない!?痛み改善と手術回避のためにできること

院長:伊藤良太

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肘に腱鞘炎は起こらない?その理由とは

肘に腱鞘炎は起こらない理由についてお伝えします。

なぜ、肘に腱鞘炎が起こらないのかというと【肘には腱鞘という組織がないから】です。

腱鞘がなければ腱鞘炎は起こりません。

「肘や手首などの関節部の痛み=腱鞘炎」というイメージが一般的にあるのかも知れません。

「肩の痛み=五十肩」、「脚のしびれ=ヘルニア」も同じでしょう。

改めて認識していただきたいのは、腱鞘のある部位でしか腱鞘炎は起きません。

肘に痛みが起きるのは、肘周辺の組織に何らかの異状が起きているために出てくる症状なのです。

肘の腱鞘炎と思われているテニス肘について

肘の腱鞘炎と思われているテニス肘についても合わせて見ていきましょう。

肘の痛みや引きつったような違和感、長期的なしびれは肘の腱消炎ではなくテニス肘の場合が多いでしょう。

腱鞘炎の場合は、手や指、手首の関節の使い過ぎによってこれらの部位に炎症が起こり、腫れや痛みを生じるといった特徴があります。

腱鞘炎とテニス肘の最も大きな違いは、【テニス肘は手首には痛みは出ない】ことです。

手首から先は腱鞘炎の疑い、肘周辺はテニス肘の疑い、と捉えておくと良いでしょう。

テニス肘の他にも「ゴルフ肘」というものもありますので、合わせてご覧ください。

ゴルフ肘でサポーターを使う目的と基準を徹底解説!お勧めのサポーターとは

    加えて、肘の腱消炎と思われているテニス肘についてのさまざまな疑問にもお答えしていきます。

    テニス肘の治し方は自分でできるのか

    テニス肘は自分で治すことができるのか、気になっている人も多いのではないでしょうか?

    テニス肘は、

    • 症状が出て間もない
    • 比較的軽度の痛み、違和感が生じている
    • 適切な固定を自身で正しくできる
    • 適切な安静時間をしっかりと確保できる

    といった状態であれば自身でも治すことが可能です。

    テニス肘を自分で治すためには、

    • 患部を無理に動かさず、適切な安静時間を設ける
    • 肘まわりの関節や筋肉のこわばりをほぐす、セルフマッサージを行う
    • テニス肘の改善、予防に効果的なストレッチを行い継続する

    という方法があります。

    手の甲や肘のマッサージを行うことは特に、血流を促して炎症・痛みの原因物質を流す効果が期待できるでしょう。

    テニス肘は自身でも症状によって治すことが可能ですが、自己流のマッサージやストレッチ、適切ではない安静時間を設けてしまうことも少なくはありません。

    • 手首を反らす
    • 手首をひねる
    • 指を伸ばす
    • 物を掴んで手首を動かす

    といった動作時に痛み、違和感、しびれが出た場合はテニス肘の可能性が考えられるため、できるだけ早期に先生に見てもらうことが早期回復のポイントになります。

    セルフで肘の痛みにアプローチする方法は、こちらをご覧ください。

    肘の内側・外側の痛みの原因と治療法とは?お勧めのサポーターをご紹介

    テニス肘を放置するとどうなるのか?

    テニス肘は生じてからの応急処置が速やかだったり、軽度の場合は自然治癒することが少なくはありません。

    ただ自然治癒に任せて自己判断でテニス肘を放置してしまうと、

    • 繰り返しの腕の酷使で痛みや違和感がぶり返す
    • 強い痛みが常態化し、物を持ったりタオルを絞る動作が難しくなる
    • 肘をいつものように動かせなくなる
    • お箸を使うにも不便になる

    といったリスクが高まります。

    基本的に「症状があるのに放置」、というのは決して良いことではありません。

    放置のリスクについてはこちら。

    ぎっくり腰を放置したり、腰痛を我慢し続けるとどうなるのか?

    肘の痛みが治らないのはなぜ?

    肘の痛みが治らない原因には、以下が考えられます。

    • 十分な安静時間を取っていない
    • 安静時間が長すぎて患部の血流が悪くなっている
    • ストレッチやマッサージが不十分である、間違ったやり方をしている
    • 医療用肘サポーターの使い方が間違っている
    • 一時的に痛みを抑えるものの根本的な治療にはならない湿布のみで対応している
    • 筋肉が硬くなっている

    テニス肘の改善や予防に有効性が認められたガイドラインでは、

    1. サポーターを正しく使う
    2. 物を強く握る動きを避ける
    3. 物を持つ際は脇をしめて手のひらを上に向けた位置で行う
    4. テニス肘の初期段階は湿布や非ステロイド性の消炎鎮痛薬を正しく使う

    の4つがあり、この対処で半年~1年以内に90%程度症状が改善できることが報告されています。

    当院の患者さんにおいては一週間で症状がなくなるケースもあり、適切な施術を早期に行えば肘の痛みは長期かするリスクは限りなく低くなるでしょう。

    「肘の痛みが治らない」についてはこちら。

    肘の痛みが治らない原因とは?一般的な治療法、疑問集にお答えします。

    テニス肘で寝る時の姿勢は?

    テニス肘で寝る時の姿勢は、

    • 患部を下に向けた横向きの体勢を取らない
    • 肘の下にクッションや枕、厚めに畳んだタオルを添える

    ことがポイントで、腕を心臓よりも高い位置に挙げた寝姿勢は、患部の余分な水分を流したり、血流・リンパ液の流れがスムーズになることで痛みやしびれの軽減にアプローチできるでしょう

    テニス肘の重症度を教えて

    テニス肘が重症化すると

    • 物を掴めない
    • 箸を使うのも苦痛
    • タオルは絞れない
    • 物を持って手首を動かせない

    など、日常生活のおいても大きな支障をきたします。

    安静と施術を行えば重症化は避けられますが、仕事で肘を使う方は安静にするのが難しいでしょう。

    そのためにも湿布や薬で誤魔化すのではなく、施術という直接患部にアプローチすることが必要と私は現場で感じています。

    テニス肘は一生治らないの?

    「テニス肘は治らないの?」というよりも、『治らないような肘の使い方をしている』といった方が正しいでしょう。

    統計上では90%程度の割合でほとんどの場合、半年~1年程度で治癒を目指すことができる言われています。

    スポーツや仕事で酷使する方の中には、10%程度の確率で保存療法では治癒が難しい難治性テニス肘もあり、手術が選択されるでしょう。

    おおよその経過は

    • 手術後2週間程度:固定と肘の可動域を拡げるリハビリ開始
    • 手術後4週間程度:肘の筋力トレーニング開始
    • 手術後8週~:重いものを持つ動作の許可

    一般的な目安期間となっています。

    当院では、一般の方でこれまでテニス肘で手術をした方は一人もいません。

    【まとめ】肘の腱鞘炎について

    本記事では肘の腱消炎は起こらないことや似た症状原因があるテニス肘についてさまざまな疑問にお答えしてきました。

    肘を酷使する動きが多い人、テニスを頻繁にする人の1/3程度にテニス肘が起こりやすいと言われています

    今回のコラムをきっかけに肘まわりの筋肉強化や準備運動、サポーターの使用などテニス肘の予防に気を配っていきましょう


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