股関節炎とは?症状と原因、よくある疑問にアレコレにお答えします。


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歩行や運動時に身体を支え、外部からの力を吸収する役割がある股関節。

いつものようにスムーズに動けない、股関節にしびれるような痛みを感じた場合は、股関節炎の可能性が考えられるかもしれません。

今回は股関節炎がどのような症状、原因で生じるのか、起こりやすい年代や主な治療法などの疑問アレコレをまとめて解説していきます。

院長:伊藤良太
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股関節炎とは?

股関節炎とは【股関節の内部に痛みや炎症を生じる】ことを言います。

股関節炎の正式名称や起こりやすい年代、原因や症状について一緒に見ていきましょう。

正式名称

股関節炎の正式名称は単純性股関節炎と言い、特に子どもの股関節痛が生じるよくある疾患のひとつとされています。

単純性股関節炎は、

  • 小児期のお子さまでもっとも頻度が高い疾患
  • 股関節や足に急な痛み、不快感を感じる

などの特性があります。

起きやすい年代

股関節炎(単純性股関節炎)が起こりやすい年代は、

  • 3歳から10歳
  • 平均では5~7歳

がもっとも多く、女児よりも男児に多く見られる傾向です

原因

股関節炎の原因は主に

  • 激しい運動によるもの
  • アレルギー等
  • ウイルスの感染によるもの

などが考えられていますが、明確な原因がわからない部分も多いと言われています。

症状

股関節炎は、股関節が炎症していることで生じる股関節の痛みが主な症状とされています。

子どもの単純性股関節炎は、痛みがある部位・状態を正確にまわりに伝えることが難しいため、

  • 股関節を何となく痛がっている
  • 足をかばって引きづるような動きに変わる
  • 足を動かしたがらない
  • 膝のあたりを痛がる

などがある場合は、股関節炎の疑いがあると考えられるかもしれません。

股関節は、歩行や運動によって体重の負荷が大きくかかる関節となっているため、股関節炎による強い痛みが生じるとスムーズに歩けないなどの症状が起こることもあります。

股関節炎では、股関節の内部の炎症によって液体の滞留が見られ、関節の運動が制限されてしまうことも症状のひとつです。

股関節炎の治療法

股関節炎の治療法を見ていきましょう。

子どもに多い股関節炎は、その症状を早めに理解し、適切な治療・施術を施すことが重要なポイントになります。

カロナールなどの投薬

熱や痛みの緩和・抑制に働きかけるアセトアミノフェンという有効成分を含有したカロナールは、安静を維持しながらの治療にも用いられます。

急な痛みや強い痛みの場合には、症状の緩和を目的に使用すると良いでしょう。

牽引

股関節炎の牽引は、

  • 股関節の整復
  • 痛みや炎症の緩和
  • 股関節の変形を矯正する

などの目的・効果が期待でき、安静を維持しながら股関節を引っ張る・縮める動きを繰り返す治療法を病院では行っています。

引っ張りすぎるとかえって痛みが強くなったり、長引いたりしますので、くれぐれも注意が必要です。

リハビリ

股関節炎のリハビリは、身体の全体または一部分を適度に伸ばし、動かしたりしながら、股関節炎の症状の軽減や機能の回復にアプローチします。

痛みのある動きは避けておくのが無難でしょう。

安静

股関節炎は一般的に、安静を維持しながらカロナールなどの治療薬の服薬と簡単なリハビリで自然に治癒していく傾向にあります。

股関節炎の安静期間の目安は通常では1~2週間程度となり、この期間は、

  • 長時間立つ、歩く
  • スポーツ

を制限する必要があり、安静を守るほどに治るまでの期間が短縮できます。

股関節炎は基本的には1~2週間の安静で治癒すると言われていますが、

  • 小児期の大腿骨頭に生じた血行障害によるペルテス病
  • 股関節に細菌が侵入した際に起こる炎症、可能性股関節炎

などが生じている場合は、1ヶ月以上の安静や精密な検査が必要になることもあります。

股関節炎の疑問アレコレ

股関節炎の疑問アレコレに対してお答えしますので、子どもに多い股関節炎の不安・悩みを早めに解決しましょう。

長引くのはなぜ?

股関節炎が長引いてしまうのは、

  • 安静期間が十分に取れていない
  • 大腿骨頭すべり症などの重篤な病気が生じている

などの可能性があります。

子どもはじっと安静に過ごすことが苦手な部分もあるため、子どもが安心して過ごせる環境に整えておくことがベストです。

1~2週間安静にしていても股関節炎が長引く場合は、他の病気が隠れている可能性もあるため、早めに先生に診てもらうようにしましょう。

繰り返すのはなぜ?

股関節炎を繰り返してしまうのは、

  • 痛みがなくなった後の無理な運動
  • 身体の成長に見合っていない運動強度
  • 何かしらの病気の可能性

が考えられます。

二回くらいまでなら「また動きすぎたのかな?」と思えますが、3回目となるとさらに詳しく原因を追求していくべきでしょう。

通学や運動はいいの?

股関節炎の治療は安静が第一となるため、1~2週間は通学や運動を控えることが推奨されています。

もちろん休み時間の校庭遊びも同様です。

運動の制限は子供には辛いかもしれませんが、きちんと状況を説明して短期間で動けるように対話をしましょう。

股関節炎に似た疾患

股関節炎に似た3つの疾患についてまとめてみました。

是非とも参考にしてみてください。

大腿骨頭すべり症

大腿骨頭すべり症とは、骨端線の部分で半球の形をした大腿骨の頭の上の部分が後ろにすべってしまう疾患のことを言います。

小学校高学年から中学生の思春期に多く見られる疾患で、

  • 急性の大腿骨頭すべり症の場合:骨折時のような激痛生じやすい
  • 慢性の大腿骨頭すべり症:徐々にすべりが生じて軽度の股関節痛を生じる

ことがあります。

年齢的に一緒の時期に発症する疾患ですので、痛み方や痛みの続く時期で判断して、適切な治療を受けましょう。

化膿性股関節炎

化膿性股関節炎は、股関節に細菌が侵入したために起こる炎症のことを言い、免疫力・抵抗力が弱い赤ちゃんに生じやすいと言われています。

化膿性股関節炎は、骨の発育や成長軟骨への損傷が起こる場合もあるため、早めの対処が必要です。

ペルテス病

ペルテス病は、3~12歳の子どもによく見られ、特に6~8歳が好発しやすい疾患です。

ペルテス病は大腿骨の股関節側にある骨端に血液が十分に届かないことが原因とされています。

股関節から膝の関節の全体に痛みが出やすいものの、ペルテス病の初期は強い痛みがないため、症状に気付きにくいこともあるようです。

日頃からの親子のコミュニケーションと、子供を見る観察が大切ということですね。

【おわりに】股関節炎になってしまったら

股関節炎は子どもによく見られる疾患のひとつですが、重大な病気が潜んでいる可能性もあるため、安易な判断はせずに速やかに先生の診断・指示を受けるようにしましょう。

子どものいつもとは違った動きや些細な変化を見落とさないためにも、股関節炎の原因や症状、治療法を早めに理解しておいてくださいね。

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