こむらがえりの原因と予防法、上手に対処するには?柔道整復師が解説!
カテゴリー:脚の痛み
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睡眠中や運動中に突然足がつった経験がある方も多いのではないでしょうか。
この「足をつる」というのが、こむらがえりのことをいうのです。
そんな誰しもが経験したことがあるこむらがえりですが、なぜ起こるのか、またどうすれば予防できるのかわからないという方もいると思いますので今回は、こむらがえりの原因や予防法、そして上手に対処する方法をお伝えします。
Contents
こむらがえりとは
こむらがえりとは、
“有痛性筋痙攣“
「ゆうつうせいきんけいれん」といい、ふくらはぎに起こることが多いですが、ふくらはぎに限定したものではなく足の裏や指、太もも、すね、足の甲などにも起こるのです。
こむらがえりは年齢とともに重症化したり、症状が慢性化しやすいと言われています。
こむらがえりの原因
こむらがえりの原因はさまざまですので、一つひとつ原因を探っていきましょう。
疲労
若い世代に多いのが、テニスやサッカー、バスケなどの走る、止まる、ジャンプ動作を多く行うスポーツによる筋肉疲労です。
運動中や運動直後にこむらがえりが起こりやすい方は、筋肉疲労が原因かもしれません。
また、中高年になると少しの運動でも筋肉疲労を起こしやすくなります。
頭では「そんなに動いていないつもり」でも「身体はしっかりダメージを受けている」ために、頭と身体のギャップが身体の不具合となって現れるのです。
ケガの予防の含めて、セーブしながらスポーツを楽しんでくださいね。
疲労と関連して、足のつき方が良くないと効率の良い出力が出せないので、無理な力が必要となり、筋肉疲労を早めてしまいます。
代表例が扁平足(へんぺいそく)や内反足(ないはんあし)です。
この場合にはインソールなどで対策をすると良いでしょう
インソールについてはこちらをご覧ください。
冷え
ふくらはぎは「第二の心臓」とも言われ、全身の血行を巡らせる役割があります。
しかし、冷えによってふくらはぎの筋肉が緊張すると、血行不良を起こしこむらがえりが起こりやすくなります。
冬の時期の足首の冷えはてきめんです。
レッグウォーマーなどで足首の冷え対策をしましょう。
水分不足
長時間のスポーツなどで大量に汗をかいて脱水状態になると、こむらがえりが起こります。
夏にこむらがえりが多いのも水分が関係しているのです。
水分不足になると筋肉が縮み過ぎるのを防ぐ腱紡錘(けんぼうすい)の機能が低下して、筋肉が異常に収縮することが原因だと言われています。
スポーツ選手のこむらがえりの原因は水分不足と疲労によるものがほとんどでしょう。
カリウムやマグネシウムの不足
カリウムやカルシウムは神経の伝達や筋肉の収縮をスムーズにする働きがあり、この2つを調整しているのがマグネシウムです。
3つはミネラルと呼ばれ、ミネラルのバランスが崩れると筋肉が痙攣しやすくなりこむらがえりが起こります。
普段意識して摂取するものではないので、出来るだけ不足しないような献立やサプリが必要です。
肝臓の疾患
肝臓の疾患の中でも、とくに肝硬変でこむらがえりが起こりやすくなります。
肝硬変になると、筋肉を維持するためのカルニチンという物質が不足し、筋肉に痙攣が起こりやすくなるのです。
治療と並行して、こむらがえり予防に努めましょう。
糖尿病
糖尿病によって血糖値が高い状態が続くと末梢神経に小さな傷がついて刺激が起こり、傷ついた神経の刺激が筋肉に異常な信号を送ると、過剰に筋肉が収縮してこむらがえりが起こるのです。
糖尿病が原因のこむらがえりは、明け方や安静時に起こることが多いのが特徴です。
妊娠中
妊娠中はお腹が大きくなることで足への負担も大きくなり、筋肉が疲労しやすくなるのでこむらがえりが起こります。
また、ホルモンバランスが崩れることで血流が悪化すること、カルシウムやビタミンDが不足することなども関係しているのもこむらがえりを起こす要因の一つでしょう。
こむらがえり予防のためにできること

こむらがえりは、原因がある程度わかれば予防することができます。
ただし、効果には個人差があるのでさまざまな方法を試してみてください。
食事
こむらがえりを予防するには、栄養バランスのとれた食事を心がけることが大切です。
とくに、筋肉疲労の改善に役立つビタミンB1やカリウムなどが含まれた食材を積極的に食べるのがおすすめです。
たとえば大豆製品や魚、牛肉、鶏肉などは、血流を良くして体を温めてくれます。
夏場の場合には、朝食のお味噌汁を少し濃い目にするなどして塩分不足を補いましょう。
疲労回復
こむらがえりは筋肉疲労で起こることがほとんどなので、運動後のケア必ず行いましょう。
運動後のストレッチと十分な睡眠を心がけ、体に疲労を残さないことが大切です。
そして入眠後3時間が成長ホルモンの分泌が最も活発と言われています。
身体の成長と疲労回復には欠かせない成長ホルモンですので、睡眠環境の整えにも意識してみてましょう。
成長ホルモンについてはこちらをご覧ください。
漢方薬
こむらがえりには、「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」という漢方薬が効果的です。
筋肉の緊張や痛みを和らげる作用があり、服用から平均6分で効果が現れると言われています。
価格と内容量の面から考えて、継続的に摂取するのでしたらこちらがオススメです。
加えて粒状になっているのも飲みやすくて良いでしょう。
夏場の時期など、限定的に摂取するならこちら。
短期間に強力にサポートしてもらう意識で摂取しましょう。
次にお試しで使ってみるなら、安価なものということでこちら。
正直このような商品は、価格に比例して内容物に差があるといっても過言ではありません。
「安かろう、◯かろう」ではありませんが、出来るだけ質の高いものを摂取した方が良いでしょう。
サプリ
運動中や睡眠中など、人はあらゆる場面で汗をかきます。
汗や尿によってミネラルが体外に排出され、ミネラル不足に陥ってこむらがえりが起こりやすくなるので、サプリでカルシウムやマグネシウムなどのミネラルを補うことでこむらがえりを予防できます。
手軽に継続的に摂取するならこちら。
内容量も比較的マグネシウムや亜鉛が多く含まれています。
そして、汗の出る量が多い方はこちらでカリウムを多く摂取しましょう。
汗と一緒にカリウムは排出されてしまいますので、夏場に足がつりやすい方は意識して多めにカリウムを摂取しましょう。
ただし、人工透析を受けている方はカリウムの過剰摂取にならないように注意が必要です。
こむらがえりと肉ばなれの違い
こむらがえりと肉離れの違いもお伝えします。
実は両者はよく間違われやすく、こむらがえりは筋肉の痙攣なので、発症している間は力が抜けなくなります。
一方、肉ばなれは筋肉の断裂なので、発症すると痛みで力が入らなくなります。
また、こむらがえりは一時的な症状なのでその場で痛みは消えますが、肉ばなれはその場で痛みが治まることはありません。
何も処置せずにそのままにしていると、筋肉の断裂が修復されるまで数日〜数週間は要するでしょう。
肉離れについてはこちらをご覧ください。
こむらがえりに湿布は有効?
こむらがえりは一時的な症状なので、冷湿布はほとんど効果がありません。
そして冷えによりかえってこむらがえりが長引いたり強くなることも。
夜間のこむらがえりには冷湿布は逆効果ですので注意が必要ですし、消炎鎮痛効果のある湿布もこむらがえりには効果はありませんのでお見知り置きください。
逆に、運動中のこむらがえりには神経を落ち着かせる意味で冷湿布を貼っても良いでしょう。
ただし気休め程度です。
では温湿布はどうなのでしょう?
温湿布を貼ることで一時的に冷えや血流の改善に効果がありますが、こむらがえりを治すのに湿布だけを貼ってそのまま待つ、というのはよくありません。
こむらがえりの治し方は次の項目でご紹介します。
こむらがえりの治し方
こむらがえりが起こるとふくらはぎの筋肉が硬直するので、筋肉を伸ばすようにゆっくりストレッチを行いましょう。
ふくらはぎにこむらがえりが起きたときには、
アキレス腱伸ばし

または座った状態で膝を伸ばしてつま先を手で掴む。

太ももの前の時には足首を持って太ももの前を伸ばします。

太ももの裏の時には膝を伸ばして前に体を倒します。

太ももの裏のこむらがえりが起きて立てない時には座って膝を伸ばして、つま先を摘みましょう。
(※ふくらはぎのストレッチと同じです)
症状が治まったら蒸しタオルなどでふくらはぎを温め、立ったり歩いたりなど少し動きましょう。
運動の場面でこむらがえりになると動けなくなってその場に留まってしまい、誰かにおんぶされて移動することがありますが、これはNGです。
出来るだけその場でこむらがえりをストレッチで落ち着かせてから、自分の足で歩きましょう。
おんぶして歩いたときの衝撃がまたこむらがえりのきっかけとなってしまうのです。
【その場でこむらがえりを抑えて、自分の足で歩く】
これがポイントです。
こむらがえりの後も痛みが続く原因
こむらがえりは、通常ストレッチをすると痛みや筋肉の硬直が治まります。
しかし、痛みが長時間続く場合は筋断裂や肉離れを起こしている可能性があるので、早めに医療機関を受診しましょう。
なぜこのようなことになるのかというと、こむらがえりが起きた時に勢いよくストレッチ(筋肉を伸ばした)をしたために筋肉を痛めてしまったのです。
「早く筋肉のけいれんを鎮めたい!」という気持ちはわかりますが、縮んだ筋肉を勢いよく伸ばして筋肉を痛めるのは想像に難しくないと思います。
急ぐ気持ちを抑えてゆっくり患部の筋肉を伸ばしてくださいね。
夜中にこむらがえりが起こりやすい理由
人は寝ている間にも汗をかいていますので、ミネラルバランスが崩れるとこむらがえりが起こりやすくなります。
寝ている間にトイレに行きたくない、という理由で水分摂取を控える方がいますが、出来るだけ寝る前にはコップ1杯(150ml)ほどの水分は摂取しましょう。
また、寝ているときに布団から足が出ていると足先が冷え、血流が滞ることでこむらがえりが起こります。
部屋の温度管理にも気をつけましょう。
こむらがえりに上手く対処するために
こむらがえりは、適度な運動やストレッチ、バランスのとれた食事など普段の生活を少し意識するだけで予防できるものがほとんどです。
まずは、自分のこむらがえりの原因を知り、今回紹介した予防法を試してみましょう。
それでも症状が改善しない場合は、一度医療機関を受診するのがおすすめです。