骨粗しょう症と薬と予防
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皆様こんにちは院長の! 伊藤です。
本日は以前書いたブログ内容の牛乳と骨の繋がりから骨粗しょう症について書かせていただきました。
「いつの間にか骨折」
以前、放映されていたこんなCMはご記憶にありますか?
「いつのまにか骨折」
病院へ行き検査を受けて骨密度の数値に低下があると薬の処方が始まります。
薬剤師の視点から、要らない薬をひとつだけ挙げるとすると、「骨粗しょう症」の薬と答えるそうです。
その理由は、あまり効果がないのに強い副作用があるからだです。
骨粗しょう症は、骨の生活習慣病で骨密度が低下して骨折が起きやすくなった状態を「病気」と定義づけたもの。
わかりやすく言うと、高血圧やコレステロール値と同じで治療が必要ない人までも数値やレントゲン写真によって病気のように思わせて薬を処方する作られた「病気」だからです。
「骨粗しょう症」の薬
第一選択薬になっているのはBP製剤といわれる、破骨細胞の活動を阻害し、骨の吸収を防ぐ種類の薬です。
これらは処方箋でよく出される薬ですが、半年間も服用して検査をした結果、骨密度がほとんど上がっていないことが多いようです。
しかも、飲み始めると胃の不調に悩まされるケースが多く、それが嫌で途中で飲む間隔を空けてしまったり、飲むのをやめて捨ててしまう方もいらっしゃいます。
〔※薬を捨てるということは私たちが納めている税金を捨てることと同じですので絶対にお止め下さい。〕
BP製剤は口腔や食道に潰瘍、壊死ができやすいので、朝起きてすぐ一定量の水で服用したあと30分間は水以外の飲食禁止、しかもその間ずっと横にならずに身体を起こしていなくてはならないなど、服用する際に注意が必要です。
それでいて薬が効いていないケースが多いのですから、半年たって効果がなければやめたくなるのも仕方ありません。
それでも患者さんはドクターから、
「まだ半年では効果が出にくいです。少し長い目で経過を観察していきましょう」
「飲んでいるから、この程度で済んでいるのです。飲まなかったらもっと骨がスカスカになっていますよ」と言われると何も反論できませんし、「お医者さんが言うなら…」とすっかり納得しています。
骨粗しょう症の薬の長期服用で骨が腐る?
BP製剤の副作用で特に怖いのが、顎の骨が腐る副作用(骨顎壊死)です。
皮膚などと同様に骨にも新陳代謝があって、骨を作る細胞と骨を壊す細胞があり、新しい骨に生まれ変わるまでにだいたい90~120日かかります。BP製剤は、この骨を壊す細胞の働きを弱めることで骨密度を上げる仕組みになっています。
しかし、骨を壊す細胞の働きを弱めると新陳代謝の速度が遅くなり骨が老化します。
特に骨の新陳代謝が活発な顎の骨の歯を支える部分は、骨を壊す働きが弱くなると老化が顕著になります。
そのため抜歯したあと、患部の修復ができず口腔に露出した状態になります。
そうなると口の中にいるさまざまな「ばい菌」が、骨を腐らせてしまうのです。
新陳代謝が悪くなれば、ほかの骨も修復がはかどらなくなりますから、BP製剤の長期服用者は骨折した場合、骨がつきにくくなるというデメリットもあります。
また、高齢の方で多い骨折である大腿骨転子下骨折も起こしやすくなるのです。
アメリカでは下記のように患者さんに注意喚起をしているようです。
1〕BP製剤使用中の患者に、大腿骨転子下骨折や大腿骨骨幹部骨折のリスクがあることを知らせる
2〕BP製剤を使用するメリットとリスクについて伝えること。
3〕5年以上BP製剤を使用している患者さんについては、必要なのかどうか定期的に再検討する
「骨密度の減少=寝たきりになる骨折」ではない
大腿骨骨折などで寝たきりになる高齢者の急増は、解決すべき大きな社会的テーマです。
その部分については私もまったく同感です。
一般的に、「骨密度を上げる薬を飲むこと=寝たきりになる骨折をなくすこと」と考えている人が多いのではないでしょうか?
骨が極端にスカスカになった怖い写真を見せられれば、骨密度を上げることが何よりも大事という発想になるのはやむを得ないかもしれません。
しかし「寝たきりになる骨折」が起きる原因は骨密度の低下だけではありません。
骨折という結果は、転ぶという原因があって起こるものです。
骨密度が高くても、階段に手すりがない家や床に段差がある家、床が滑る風呂、といった転びやすい環境にいれば、骨折のリスクは当然高くなります。
実際私の祖母も坂道でバランスを崩し転倒したことで大腿骨頸部骨折をしてしまいました。
骨折のリスクを減らすためにするべきこと
☆食時編☆
一番はバランスの良い食事をすることです。
骨を丈夫にするためには「カルシウム」と考えがちですが、カルシウムを活性化させるためにはビタミンDが必要になります。
ビタミンDは、魚介類や干し椎茸、卵などの多く含まれていますが、実は太陽を浴びることでも体内のビタミンDを増やすことができます。
そしてタンパク質です。
前回のブログにも書きましたが、タンパク質は骨も強くします。
一番はお肉ですが、高齢になると食欲減退やお肉を食べることに抵抗もあるようです。
そんなときはお魚や卵がお勧めです。
「卵を食べるとコレステロールが上がるから…」
こんな方もいらっしゃるかと思います。
でも大丈夫!
卵は完全に火を通せばコレステロールは上がらない!という研究結果が出ています。
これを知らない方が沢山いらっしゃいますのでこの際に、是非お見知りおきを…。
☆歩く☆
骨粗しょう症の患者さんは、骨密度が低いから骨折のリスクが高まるということばかり頭にあって、軽い運動すらしなくなっている人が多いのも現実です。
さらに、日焼けするとシミになるという意識から外にでることを拒む人も多くいます。
骨粗しょう症を防止するために骨密度を上げるには、骨に刺激を与えると効果的であることは確認済みです。
当院ではある骨折にて負傷後、一定期間経過したときは患部に刺激を与え骨の形成の後押しをしています。
一番簡単なのは「歩く」ことです。
歩くことで骨に振動を与えることができます。
体にも負担のかからない有酸素運動で、転ばないための筋力をつけることもできます。
運動はしたくないという人も多いかと思いますが、太陽の下で歩くことで骨粗しょう症の予防ができ、さらに有酸素運動は脳に酸素を送りますので認知症の予防にもなります。
寝たきりの原因の一番である「骨折」は、骨密度が低いからなるのではなく筋肉量の低下とも言えるのではないでしょうか?
そして歩かないことによりバランス感覚も低下します。
筋力低下とバランス感覚の低下は転ぶ原因として大きく関与します。
これだけはご本人に頑張っていただくしかありません。
「歩く=転ぶ=折れる」ではなく、「歩けて転ばない=折れない」という基本的な考え方にシフトしたほうが良さそうです。
筋力を高め、転ばない・骨折しない体づくりをしていきましょう。
自らの力で骨粗しょう症を予防することに心がけましょう!
本日もお読みいただきましてありがとうございました!
カテゴリ:お勉強シリーズ
タグ:カルシウム,タンパク質,ビタミン,薬,骨,骨折,骨粗しょう症,高齢