関節ねずみの原因・症状・治療方法とは?【柔道整復師が解説します】


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スポーツが原因でさまざまな関節に起こり得る「関節ねずみ」。

骨や軟骨のかけらが関節の中を動くことから関節ねずみと呼ばれています。

症状がほとんどない人から手術をしなければいけない人まで症状はさまざまです。

関節ねずみの原因・症状・治療方法について詳しく見ていきましょう。

院長:伊藤良太
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関節ねずみとは

正式には、関節内遊離体(かんせつゆうりたい)といいます。

関節内遊離体とは、けがや病気により関節軟骨やその下の骨(軟骨下骨)の一部が剥がれ、膝や肘などの関節内を移動するようになった骨軟骨片かけらのことを指します。

関節遊離体:メディカルノート

このかけらは関節の中を自由に動き回り、広い空間にあるときには無症状であることが多く、関節の狭い部分に引っかかったり挟まってしまうと関節の動かしにくさや強い痛みが生じます。

朝起きたら突然…、または何かの動作がきっかけで…と起きるタイミングは様々です。

症状が変わったり、関節の中で軟骨や骨のかけらが動き回る様子を「ねずみ」と表現しているのでしょう。

関節ねずみになりやすい部位

関節ねずみは膝や足首、肘、指など様々な関節に起こりますが、その中でも膝や肘に起こりやすいと傾向です。

野球やテニス、サッカー、バスケットボール、ゴルフなど、関節に負担がかかりやすいスポーツで多く見られます。

スポーツ選手に関節ねずみが多い要因の一つには、関節への過度な負荷も挙げられるでしょう。

関節ねずみの原因

関節ねずみは何らかの理由で骨や軟骨が剥がれ落ち、そのかけらが関節内を動き回ることで症状を感じます。

骨や軟骨が剥がれ落ちる原因には、

  • 変形性関節症
  • 離断性骨軟骨炎(野球肘、テニス肘)
  • 軟骨損傷、軟骨骨折
  • 骨軟骨腫症
  • 捻挫による骨のアライメント(配列)の崩れ

などが挙げられます。

激しいスポーツの繰り返しによる骨の剥離、スポーツや事故による骨折、骨に異常が見られる疾患、軟骨がすり減る疾患などが原因で関節ねずみとなってしまうのです。

関節ねずみの症状

関節ねずみの症状には以下のようなものがあります。

  • 関節の痛みや動かしにくさ
  • 引っかかり感
  • ロッキング(関節がそれ以上動かなくなる)
  • 関節に水が溜まる
  • 関節の中で何かが動くような違和感
  • 皮膚の下にしこりのようなものが触れる

剥がれ落ちた骨や軟骨は関節の中を自由に動き回るので、症状が見られるときと見られないときがあるのも関節ねずみの特徴でしょう。

たとえば、骨や軟骨が広い空間に存在しているときは、痛みや動かしにくさを感じないことが多いのですが、狭いところに挟まったり引っかかったりすると強い痛みや動かしにくさが現れ、時には関節が全く動かなくなるロッキング現象が見られることもあります。

このように症状があるときとないときがあるので、症状がないと治ったと勘違いしやすいのですが、骨や軟骨のかけらは関節の中にある状態なので治ってはいません。

関節ねずみの治療方法

関節ねずみの治療法は、自然治癒(保存療法)または手術の2種類があります。

症状の重さによってどちらかの治療法が選択されます。

自然治癒(保存療法)

関節の中に関節ねずみが見られる場合でも、症状がなかったり骨や軟骨のかけらが小さければ経過観察となるでしょう。

また、骨や軟骨が完全に剥がれ落ちておらず安定している場合は、運動制限や荷重制限などの保存療法が選択されます。

ですが運動の制限や中止などにより、関節への負担軽減が必要です。

手術

痛みなどが強く日常生活に支障をきたしてしまう場合や、スポーツ選手などは手術による治療が選択されるでしょう。

手術は関節鏡視下手術が行われることが多く、関節の周囲に1cmほどの穴を2~3か所開けて、そこから関節鏡を入れて関節の中で手術を行います。

切開範囲が狭いので、手術後の痛みが少なく比較的早期のスポーツ復帰が望めるでしょう。

関節ねずみが小さく軟骨の欠損も小さい場合は鏡視下遊離体摘出術(きょうしかゆうりたいてきしゅつじゅつ)、関節ねずみが大きい場合は鏡視下整復固定術(きょうしかせいふくこていじゅつ)という術式で手術が行われます。

また、骨や軟骨が粉砕されて元に戻らないと判断した場合には、他の部位から骨軟を採取して移植する方法が用いられるでしょう。

関節ねずみの手術は保険対象になる?

関節ねずみの手術は保険対象になるかどうかもみなさん知りたいところだと思います。

大丈夫です、手術は保険が適用されます。

部位や手術を行う病院によって手術費用は異なりますが、3割負担の場合の相場は次のようになっています。

  • 膝 鏡視下関節ねずみ摘出術:110,000~140,000円
  • 肘 鏡視下関節ねずみ摘出術:120,000~150,000円
  • 足 鏡視下関節ねずみ摘出術:130,000~160,000円

その他、生命保険には手術時の保険もあり、商品を購入しているとさらに負担軽減となります。

いざというときの保険ですので、手厚く入っていると後々「良かった…」となるでしょう。

ただし、家計を圧迫してまで入る必要はありませんので、販売員の方と話し合って上手に商品を選んでくださいね。

まとめ:関節ねずみの原因・症状を知ろう

関節ねずみは原因となる疾患によるものが多いので、関節ねずみを摘出するだけではまた再発してしまう可能性もあります。

そのため、関節ねずみの原因となっている疾患から治療・施術を行いましょう。

また、スポーツによる関節への負担が大きいために関節ねずみが生じているのであれば、スポーツ動作の改善や練習メニューの見直しなどが必要です。

関節ねずみに限らず、何事も早期発見・早期治療が悪化を防ぐ第一歩。

症状を知ることで症状が強くなる前に治療が始められるので、気になる症状がある方は早めに医療機関を受診しましょう。


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