腱鞘炎は安静だけでは治らない!?痛み改善と手術回避のためにできること


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親指を動かすと親指の付け根が痛かったり、人差し指や薬指を曲げ伸ばしすると引っかかり感はありませんか?

もしかするとそれは腱鞘炎かもしれません。

腱鞘炎は放置していても著しい変化が望めないでしょう。

適切な対処とセルフ施術で早期に痛みを改善し、最終手段の手術を回避していただければと思います。

院長:伊藤良太
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腱鞘炎(けんしょうえん)とは?

腱鞘炎とは【筋肉と骨をつなぐ腱と腱鞘(けんしょう)という組織との間に起こる摩擦によって炎症が起きる障害】です。

腱鞘とは腱を包む組織のことをいいます。

指の曲げ伸ばしの際には腱が動き、動く頻度が多かったり腱への負荷が強いと摩擦により炎症が起きてしまうのです。

腱鞘炎には

  • ドケルバン病
  • ばね指

の2種類があります。

それぞれ見ていきましょう。

親指と手首の痛みはドケルバン病

親指と手首周辺の痛み(赤丸付近)は「ドケルバン病」の疑いがあります。

ドケルバン病とは【親指の使い過ぎにより腱と腱鞘に摩擦が起こる障害】です。

親指を伸ばす、広げる動作に働く腱が主に摩擦を起こし、

  • 親指を動かすと痛い
  • 炎症が強いとじっとしていても痛い
  • 腫れや熱感がある
  • 押すと痛い

などの症状を感じるでしょう。

最近では親指でのスマホの操作がドケルバン病の増える要因と考えられています。

指の付け根の痛みは、ばね指

指の付け根の痛みは、ばね指の疑いがあります。

患部では【腱が浮かないように抑えている靭帯性腱鞘(じんたいせいけんしょう)と指の腱による炎症】が起き、感じる症状は、

  • 指の曲げ伸ばしが痛い
  • 朝起きたときに指が曲がったままロックしている(伸ばすと痛い、またはガックンと戻る)
  • ものを握る、掴むと痛い

というような症状を感じます。

太くなっている腱が通る時に引っかかるために「カクンっ」と動くのです。

いつとはなしに痛みを感じ始め、何かの動作で指を使った時に痛みを感じて認識するようになり、「それ以来痛い」というような経過を辿ることが多いようです。

起きやすい部位は、手のひら側の親指や人差し指、中指に多く起きています。

指ではどの部位にも起こりうる障害です。

腱鞘炎のチェック方法

腱鞘炎である「ドケルバン病」と「ばね指」のチェック方法をご紹介いたします。

チェック方法に当てはまった時には出来るだけ早い対処で症状をなくしましょう。

ドケルバン病のチェック方法

  • 親指を握って手首を小指側に曲げる

この方法で親指の付け根(赤丸周辺)に痛みを感じる場合にはドケルバン病の疑いがあります。

日常生活では痛みがなくても、このチェック方法でのみ痛みを感じるケースも珍しくないのも特徴です。

それだけ親指の腱に負担をかけるチェック方法でもありますので、強く行わないようにしましょう。

ばね指のチェック方法

下記のような症状があった時にはばね指の疑いがあります。

  • 指の付け根を押すと痛い、熱感や腫れがある
  • 指の曲げ伸ばしの際に引っかかり感、または引っかかって指が動かない
  • 朝起きた時に指が伸びにくい
  • 曲がった指を無理に戻すと「カクン」と動く

上記の症状があった場合には、ばね指といってよいでしょう。

腱鞘炎は手の甲にも起きる?

「腱鞘炎は手の甲にも起きるんですか?」と患者さんより質問を受けたことがありましたので、一緒にご説明いたします。

基本的に腱鞘炎は手のひら側と親指の前と後ろ側で起きるのがほとんどですが、稀に手の甲側の手首に腱鞘炎と同じ症状が現れるケースもあります。

この場合の痛み方は

  • 手首や指を反ると痛い
  • 手首を反ったり曲げたりすると痛い

という症状でした。

手首を反る動作を多くした後に痛みを感じるようになるようです。

時には手首の捻挫と間違うことも珍しくありませんので、問診がとても大切になります。

腱鞘炎が重症化すると…

腱鞘炎が重症化すると、日常生活にも大きく支障をきたすようになり、

  • ものを持つ・握る
  • 朝の洗顔やシャンプーの動作
  • 箸を持って食事をする

などの動作さえも苦痛になってしまいます。

腫れや熱があると、じっとしてても痛かったり、寝ていても痛みで起きる場合も珍しくありません。

放置をしていても使うと症状は強くなりますし、一度に大きな負担をかけても同じような症状を招いてしまうケースもあります。

もし指や手首に痛みを抱えていて普段していない作業をする時には、少し加減をして作業をすべきでしょう。

放置と安静は全く違いますので、重症化する前に何かしらの処置を受けることをオススメします。

腱鞘炎になる原因となりやすい人の特徴

腱鞘炎になりやすい人の特徴は、

  • スマホやゲーム操作の時間が多い
  • パソコンのキーボードやマウス操作が多い
  • 文字を書くことが多い
  • 楽器の演奏者
  • ものを握る・掴むことが多い
  • 針仕事が多い

などなど、指を酷使する人がなりやすい傾向にあります。

スポーツ選手や仕事での作業によっても起きやすいのですが、実は主婦の方も腱鞘炎になりやすいのです

主婦の方が腱鞘炎になりやすい理由には

  • ホルモンによる組織の変性が起きやすい
  • 仕事や家事で指を休ませる時間が確保しづらい

という要因が強く影響しています。

組織は使うことで修復が促進される場合もありますが、腱鞘炎においては使わないことが一番の治療にもつながっていくのです。

腱鞘炎になったら湿布で冷やす?

「腱鞘炎になったら湿布で冷やすの?」という質問もよく受けますのでご説明いたします。

ドケルバン病になると押すと痛みがあり、親指周辺に炎症が起きるので熱を感じるでしょう。

炎症によって熱がある場合には湿布、または氷などでアイシングをすると症状緩和にとても効果的です。

アイシングについてはこちらをご覧ください。

→アイシングを効果的にする方法、時間と回数、やりすぎない為の注意点

炎症症状は出来るだけ短い期間で抑えると治りの道筋を作ることになりますので、早急に炎症を抑える対処をしましょう。

痛みはあるけども熱感や腫れがない場合においての湿布の効果は「?」なケースが多く、湿布だけの対処では痛み改善は望めません。

もっと対処すべき箇所があるのです。

それについては次の項のセルフ施術の項をご覧ください。

腱鞘炎の治療法(治し方)

腱鞘炎の治療法(治し方)をご紹介いたします。

整形外科での治療

腱鞘炎の治療法には整形外科にかかると

  • 固定と安静
  • 湿布や注射などの薬物療法
  • 手術

による治療となり、固定と安静、湿布で改善が見られなければ、注射による患部への薬物による治療となります。

注射の持続期間は3ヶ月前後と言われていて、行う回数の目安は明確には示されていませんが2回以上注射をしても再発、または効果がない時には、最終的な選択肢として手術となるでしょう。

手術の時間は10〜20分程度と日帰り手術で受けることができます。

「怖いから手術だけは回避したい」という方も珍しくないのですが、炎症が強かったり、指の曲げ伸ばしの度に引っかかるような場合には、当院としても手術をオススメしています。

ストレッチ

ストレッチにより、筋肉を緩めると腱が引っ張られる力が弱くなりますので症状改善にはとても有効です。

炎症が強かったり、ストレッチをすると患部に痛みを感じる時にはストレッチは中止しましょう。

方法はこちら。

  1. 肘を伸ばして手首を反ります。
  2. もう一方の手で手首をさらに反ります。
  3. 気持ち良さを感じる間行う

方法もカンタンですので、隙間時間に行ってみてください。

この方法では効果を感じない方もいらっしゃいますので、次は手首の角度を少し変えて行ってみましょう。

  • 反った手首を小指側にひねります。

強く捻りすぎると関節技になってしまって手首を痛めることもあるので加減をして行ってください。

マッサージではないセルフ施術方法

これからご紹介する方法はマッサージ、というよりもセルフ施術になります。

こちらの方法はドケルバン病にもばね指にも効果的で、ストレッチよりも刺激は強く、筋肉に直接指でアプローチする方法になります。

ドケルバン病の方は黒のライン、ばね指の方は青のラインが押す目安です。

  1. ラインを指で押して、痛みまたは筋肉の硬さを感じるところを探す
  2. 指で押したまま手首を上下と動かす(手首を動かすと筋肉が緩んだり、張ったりします)
  3. 押している箇所が緩むまで5〜10回ほど手首を動かす
  4. 緩んだら場所を変えて1〜3を行う

強く押すと緩むまで手首を動かす回数は少ない傾向ではありますが、行った後に筋肉痛のような痛みを感じる場合もありますので、初めのうちは加減をして行ってみましょう。

行っていると押しているところが緩んで指が深く入るようになります。

次は、ばね指症状に効果的なセルフ施術で、手の甲側にある筋肉へアプローチです。

  1. 指を伸ばして手の甲に浮かぶ筋を見つける
  2. 筋の間を指で押す
  3. 指で押したまま指を曲げ伸ばしする

この動作を繰り返すと指の痛みや動きがスムーズになります。

何事もやり過ぎは厳禁で、多く指を曲げると腱の摩擦が生じてしまいますので、使わない時間の前、例えば寝る前や、全ての家事が終わった後のお風呂の中、またはお風呂から上がったあとなどに行ってください。

定期的に行うと指に感じる症状も次第に改善していくでしょう。

腱鞘炎が治らない理由

腱鞘炎が治らない最もな理由は指の休む時間が少ないこと】です。

本来安静と固定により、腱の動きにより起こる摩擦が減少すれば炎症や熱感、組織の修復がなされます。

ですが日常的に指が使われることで、炎症が治らずに熱感と痛みが続き、組織の修復も間に合わないために症状がいつまでも治らないのです。

男性は仕事だけで指を使う場面は多く、家では手を休めせる時間を確保しやすいのですが、主婦の方は仕事が終わって家に帰っても料理や洗濯、掃除などで指を使う場面が寝るまで続きます。

当院でも患部の固定をしたいけれど、家事ができなくなるという理由で固定ができない主婦の方がほとんどです。

「私以外誰も家事をする人がいないの…」と言われると私もそれ以上は強く言えません。

「1週間ほど家族に協力を仰げば手術も回避できるのに…」と思ったことは今までに何度もありました。

腱鞘炎で炎症が起きていたら安静と固定が大原則です。

是非とも短い期間での改善を目指して、家族もご協力していただければと思います。

腱鞘炎にオススメのサポーター

腱鞘炎にオススメのサポーターは手首を固定するタイプが良いでしょう。

サポーターにつきましてはこちらをご覧ください。

→手首の捻挫は接・整骨院へ!完治までの期間と治らない理由を徹底解説!

ドケルバン病の症状にはサポーターは効果的ですが、ばね指のサポーターには【アルミによる固定】がありますので、装着しながら指を使うのは無理でしょう。

固定材のアルミを外してのサポーターの装着による軽度の圧迫では指を使えてしまうので、結局は患部に負担をかけてしまいます。

「ばね指では、指を使いながら装着する効果的なサポーターはない」というのが私の見解です。

腱鞘炎に効果的なテーピングの貼り方

ドケルバン病のテーピングの貼り方

腱鞘炎であるドケルバン病に効果的なテーピングの貼り方をご紹介いたします。

テーピングのサイズは2,5ミリと3,8ミリになります

1,テープが剥がれないように親指の第一関節に貼る(2,5ミリ)

2,親指の第一関節から手首にかけて貼る(3,8ミリ)

3,親指側の手首より始まり(緑矢印)、1周して甲側に貼る(3,8ミリ)

4,テープを抑えるように親指(2,5ミリ)と手首(3,8ミリ)に貼る

親指が動くと痛いので少し引っ張って貼ると動きが制限されて痛みも軽減されます。

ばね指に効果的なテーピングの貼り方

ばね指のテーピングの目的は

  • 指を曲げないようにする
  • 腱への負担軽減

が目的となります。

テーピングを貼る目的をふまえて見ていただければと思います。

使用するテーピンングのサイズは2,5ミリと3,8ミリです。

1,第二関節にテープを1周して、第二関節が深く曲がるのを制限して、腱への負担を軽減(2,5ミリ)

2,手のひらより第二関節少し中心に向かって貼り、再び手のひらに戻り、腱への負担軽減と指がピンと伸びないのを制限(2,5ミリテープ)

3,手のひらと甲を1周(3,8ミリ)

貼り方は難しくありませんが、自分で貼るとなると簡単ではないでしょう。

テーピングの張る強さは何度か貼ってみて調節してみてください。

腱鞘炎になってしまったら

腱鞘炎になってしまったら、もしくは腱鞘炎のような症状を感じるようになったらまずは安静が最優先です。

患部の安静と同時に適切な治療・施術をしてくれる先生にみてもらいましょう。

放置しているだけでは著しい変化は望めませんので、「いつか治るだろう…」とは思わずに早期に行動をしていただければと思います。


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