この記事は約 11 分で読めます。
本日はいつまで経っても「足首捻挫が治らないのは後遺症かも!?リハビリとセルフチェック方法」という内容となります。
足首捻挫は自己判断で放っておいたり、適切な治療・施術をしないと後遺症になることが多々あります。
この記事では
- 足首捻挫がいつまでも治らない理由
- 後遺症になってしまう理由
- 自己判断がなぜよくないのか?
についてをご紹介いたします。
Contents
足首捻挫ってどんなこと?
足首捻挫とは【足関節に不自然な力が強く加わり、正常な範囲よりも動いてしまうことで関節周辺の組織を損傷するケガのこと】をいいます。
よくあるのが、
- バスケやバレー中のジャンプ着地の際に捻る
- スポーツなどで急停止した際に耐え切れずに足首を捻る
- くぼみや段差で足を着いて捻る
などなど、スポーツで足首を捻挫することが最も多く、年齢や性別では大きな差はなりません。
ジャンプ動作が多かったり、くぼみの出来やすい土で行う競技に起きやすい傾向にあるといえるでしょう。。
一度ひどい捻挫をすると靭帯を損傷してしまうため、日常生活の中でも少しのくぼみや段差にて捻りやすくなります。
足首捻挫の程度と出てくる症状
捻挫は軽度・中等度・重度に分けられ、時には剥離(はくり)骨折という靭帯が骨を引っ張って骨を剥がしてしまう骨折になることもあります。
軽度:靭帯はごく一部が損傷(断裂)するも、歩いたりしゃがむことはできます。
数日経っても腫れや熱感がないこともあり、「放っておいても治るでしょ」と治療をしないことがほとんどです。
中等度:靭帯の一部が断裂し、腫れや熱感、内出血を伴い、普通に歩けない痛みを感じます。
患者さんにお話を聞くと、二、三日しても痛みが引かず、歩く時に支障をきたすと医療機関に行くことが多いようです。
重度:靭帯が完全に断裂し、強い痛みとともに内出血と腫れ、熱感をすぐに感じ始めます。
捻挫をしてすぐから歩行はできず、片足ケンケンで来院されます。
下記の写真は完全断裂のエコーです。

右:白い線が靭帯
左:白い線が途切れている(靭帯の完全断裂)
腫れと内出血を最小限にするRICE処置
足首を捻ってしまったら、腫れと内出血を最小限にする処置をすぐに始めます。
行うべきはRICE(ライス)処置です。
- R:REST(安静)
- I:Ice(冷却)
- C:Compression(圧迫)
- E:Elevation(挙上)
RICE処置についてはこちらをご覧ください→アイシングを効果的にする方法、時間と回数、やりすぎない為の注意点
全ての処置が難しい時には冷やすことだけでも行ってください。
アイシングをだけでもするかしないかでは大きな差となりますので、治療の第一歩と認識していただければと思います。
足首捻挫が治らないで後遺症になりやすい理由
足首捻挫が治らないで後遺症になりやすい理由は、
- 患者さんが自己判断で治療を受けなかった
- 固定やその後の治療が不十分だった
ことによります。
程度により「このくらいの痛みなら静かにしていれば治るでしょ」と自己判断して、適切な治療を受けないことがあります。
これでは後遺症を防ぐことは難しくなります。
少しでも痛みを感じたらすぐに治療を受けた方が良いでしょう。
足首捻挫で医療機関を受診するとレントゲンを必ず撮りますが、残念ながらレントゲンでは靭帯は写らず、骨以外の損傷程度がわかりません。
その点、超音波(エコー)では靭帯や骨の表面にある骨膜(こつまく)、その他の組織が写るので少しの損傷の程度も見分けることができます。
骨には異常がないから湿布を貼って様子を見るという流れが、最も後遺症を残しやすいと日々の現場で感じています。
骨に異常がないから大丈夫ではないのです。
靭帯の一部、または完全断裂になると関節の不安的性が残り、時間の経過とともに軟骨がすり減り、将来様々な症状を抱えてしまうことになるのです。
後遺症を残さないために必要な事は
- 損傷した組織を画像にて目視で確認すること
- 損傷した組織に対して適切な処置をすること
- 捻挫による筋力低下、クセなどを解消するリハビリを行うこと
となります。
一番理解しなくてはいけないのは《痛くない=治った》ではないということ。
統計によると全体の20〜30%の割合で後遺症があるというデータもあります。
痛くなければそれでいいや、という考えも理解できますが、将来後悔しないためにもきちんとした治療を受けてください。
後遺症の5つのセルフチェック方法
では後遺症にはどのような症状があるのでしょうか?
- ある動きをすると関節がズレそうな感覚がある
- 動くと違和感や痛み、腫れが出る
- 関節が硬くて正座ができない、しゃがめない
- 片足ジャンプができない、力が入らない
- 何もしていないのに朝、突然痛みが出た
などなど、様々な症状として出てきてしまいます。
5つのセルフチェックのうち、一つでも当てはまる場合には後遺症があるということになります。
今は一時的な症状でも将来的にはもっとひどい症状にもなりかねませんので、きちんとした対処が必要です。
二ヶ月経っても治らないのは合併症のせい?
足首を捻ると内側のくるぶし周辺が痛んだり、外くるぶしの下を通っている腱を痛めることもあります。
これは捻挫をした時に起きる合併症となります。
重度の捻挫でもきちんと患部に対して治療を受けることで、二ヶ月も経過すれば痛みはなくなるものです。
ですがそれでも痛みがなくならない場合には、何か他の原因があるということになります。
つま先立ち、親指側に内側に体重をかけると内くるぶし周辺が痛い場合
外くるぶしが伸ばされるように足首を内側に足を捻ると、内側の骨同士がぶつかり骨を損傷してしまうこともあります。
損傷すると痛みはもちろん、腫れや熱感、内出血を伴います。
捻挫直後の外くるぶしの痛みだけとらわれてしまうと、内側への症状を見逃し、正しい処置がなされずにいつまでも痛みが残ることにもなります。
捻挫をした時には足関節周辺の検査と状態を必ず見る必要があるのです。
つま先立ちで踏んばると外くるぶし周辺が痛い場合
外くるぶし周辺が痛いと
- 歩いたりつま先に体重をかけると痛い
- つま先立ちをすると痛い
などの症状があります。
捻挫で痛めてしまった箇所と近いこともあり、見過ごすことも珍しくありません。
痛みを感じるのは外くるぶしの下と後ろ側になります。
外くるぶしの下には足首を動かす腱が通っていて、捻挫の際に伸ばされることで痛めるのです。
この他、腫れや熱感、押すと痛いなどの症状が出るのですが、捻挫で痛めた箇所と近いために、すぐに適切な処置がなされないことも多いです。
「捻挫したところはもう痛くないんだけど、くるぶしの下がまだ痛いんです…」と病院から来る患者さんも珍しくありません。
合併症が見逃された典型的な症状といえるでしょう。
捻挫の症状を早く楽にするための治療方法
捻挫をしたらまずはRICE処置です。
その後は症状と状態に合わせた固定と安静を行います。
患部の状態と患者さんの痛みの程度をお聞きしながら次第に動く範囲と強度を増やしていきます。
ここで注意しなければいけないのは、先ほども書きましたが「痛くない=治った」ではないということ。
組織が未修復でも痛みがなくなることは簡単ですが、組織の修復にはある一定の期間を要します。
痛めた程度にもよりますが、安静にする期間は必ず必要ですので、後遺症を残さないためにも焦らずに患部の状態を見極めながら治療を勧めていくべきです。
当院での施術費用の目安はこちらをご覧ください→白石接骨院いとうの料金案内
痛みがなくなる目安の期間
下記の目安は日常生活での痛みを感じなくなる目安となります。
軽度:3〜10日程度(最も速いのは翌日)
中等度:2〜3週程度
重度:長い時には2ヶ月を要することも
スポーツなどの競技復帰となるとさらに期間を要することになるでしょう。
そして合併症などで捻挫以外の箇所を損傷している時には、リハビリも含めさらに長期になることもあります。
捻挫のリハビリですべきこと
捻挫後のリハビリに必要な事は
- 落ちた筋力を戻すこと
- 関節の動く範囲を戻すこと
- 痛みの恐怖感をなくすこと
です。
落ちた筋力を戻す
筋力を戻すのは、自分の体重とゴムを使ったトレーニングとなります。
行った回数にもよりますが、落ちた筋力を戻すまでの期間としては2週間は要します。
体重を使ったトレーニングはつま先立ちです。
自宅や空き時間を見つけて行ってくださいね。


左はかかとが上がりきっていないませんが、右の写真はかかとが完全に上がりふくらはぎに効果抜群です。
次は足首を強くするトレーニングです。


つま先を90度に立てて、小指側に足首を倒します。
ワイパーのような動きになると効果的です。
一日、10回×2セットくらいから始めましょう。
関節の動く範囲を戻す
捻挫をすると、動くことによる悪化防止と組織回復促進のために患部は固定されます。
固定する期間が長くなればなるほど、固定を外した時の関節の動く範囲は狭くなり、正座やしゃがみ動作がしにくくなります。
痛めてからある程度の期間が経過したら徐々に正座としゃがみ動作を行う事で、早期に動きの範囲は取り戻す事ができます。
痛みがなくなってからでも問題はないのですが、それでは関節が固まってしまうのです。
固まってから戻すとなると、長くかかる方では2週間ほどかかることもあります。
固定する期間を短くすることで動く範囲の制限防止になりますので、当院では症状と状態を見ながら早期より動くことを患者さんにお伝えしています。
固定を外すタイミングが早くても遅くてもダメなので、その見極めが本当に重要になるのです。
痛みへの恐怖感
最後は痛みへの恐怖感です。
痛みへの恐怖感があると「動いても良いのに怖くて動けない」ということにあります。
ここはテーピングやサポーターなどで固定しながら動き始め、徐々に運動の強度を上げることで痛みへの恐怖感を克服できるでしょう。
施術で痛みを取るとその場で恐怖心がなくなることも十分可能です。
患者さんのリハビリも大切ですが、施術者の腕の見せ所でもあります。
捻挫と剥離(はくり)骨折の見分け方
患者さんの感覚や状態、治療者の経験だけでは捻挫と剥離骨折を明確に見極める事は困難です。
画像にて判断する事で悪化防止と早期回復につながります。
中にはレントゲンでも見つけられないほど小さな骨折もあり、見逃すと後遺症の可能性を大きくしてしまうので、ここは慎重に判断し適切な処置が必要となります。
エコーではレントゲンには写らないほど小さな数ミリの損傷も見つけられるので、疑わしい時にはエコーでの判断が必要と私は考えます。
足首捻挫がくせになる理由と予防法
足首捻挫はクセになる、というのは聞いたことがあるかと思います。
なぜクセになるのかというと、靭帯とは一度切れたら修復はしないため、捻挫により靭帯を損傷すると関節は靭帯が切れた分だけ緩くなるからです。
靭帯は伸びるくらいの弾力がないために捻挫などのように強い外力が加わると切れてしまうのです。
靭帯の役割は関節の固定です。
関節固定の役割を持つ靭帯は部分的にでも切れていると関節は緩くなり、何度も捻挫を繰り返すと、少しの段差や砂利道でも捻るようになってしまいます。
そのようなことにならないように正しい足首の動きを取り戻すことと、筋力を戻すことが必要なのです。
スポーツ選手の場合には、テーピングやサポーターで固定することにより限りなく捻挫をする回数を減らす事は可能となります。
足首捻挫を放置するとどうなる?
足首捻挫を放置する事で一番よくないことが関節の変形です。
膝には変形性膝関節症という名前がありますが、足首にも「変形性足関節症」という名前があり、症状として足首の腫れと痛み、進行すると歩くのにも不自由になるほど生活にも支障をきたすようになります。
痛みを放置しておいていい事はありません。
このほかにも筋力の低下や動き方の偏り、足関節の動く範囲の制限など、足元がグラつくとその上の膝や股関節、腰へも影響を及ぼすようになります。
将来このようなことにならないように、捻挫をした時には適切な行動をされることを強くお勧めします。
テーピング方法
ここでは簡単なテーピングの巻き方をご紹介します。
用意するのは2本のテーピングです。
1本目はテーピングの幅は50ミリです。


①内側からかかとを通り→②外くるぶしから内側に戻ります。
次の巻き方が難しいので、ゆっくりとイメージしてくださいね。
「ヒールロック」という巻き方になります。
テーピングのサイズは⒊75ミリです。




①足首の前→②外くるぶし→かかとの外側→③かかとの内側→→④外くるぶしを通過して上へ。
少しだけ引っ張って貼る事で固定力は強くなりますが、締め付けが強すぎると足が苦しくなるので何度か巻いてちょうど良い感覚を見つけてください。
足首捻挫を甘くみてはいけない!(院長の実体験より)
私も19歳の時に捻挫をしたのですが、バイトで忙しく治療に通う時間を確保しませんでした。
するとそれから2年後に突然朝起きると足がつけないくらい痛いではありませんか。
実は足関節の形が変わっていたのです。
捻挫してから2週間は足を引きずってバイトをしていたのを今でも鮮明に覚えています。
今でも運動をした翌日には足首周辺が痛み、足の着き方がおかしい時もあり、「あの時ちゃんと治療しておけば良かった…」と少し後悔です。
足首捻挫の場合、後遺症になる割合は20〜30%と確率は高いです。
今感じている症状で判断するのではなく、将来のために今できる行動をしていただければと思います。
足首捻挫は甘くみてはいけませんよ!