ももかんって何?正式名称や原因と症状、対処法をわかりやすく解説!


公開日: 最終更新日:

スポーツをしている時に起こりやすい「ももかん」というケガは、あまり聞き慣れない人も多いのではないでしょうか。

ももかんは受傷後に膝の動きに支障をきたしたり、歩行の際の動き方がスムーズにならなくなったりするだけでなく、足を引きずってしまうこともあるので、特にスポーツを日常的にしている人には注意しておきたいケガの一つです。

ここではももかんの正式名称や原因と症状、主な対処法について解説していきたいと思います。

院長:伊藤良太
疑問・質問は友達追加して無料にて受け付けております!
友だち追加




ももかんって何?

「ももかんって何?」と知らない方はきっと思うことでしょう。

スポーツ時に起こりやすいケガのことを言う「ももかん」ですが、この不思議なフレーズからはどんな原因・症状があるのか、イメージが難しいかと思います。

それでははじめに、ももかんの気になる正式名称や原因と症状について見ていきましょう。

正式名称

ももかんとは、「大腿筋挫傷、または大腿部打撲」が正式名称になります

ももかんは、ラグビーやサッカーなどのコンタクトスポーツで相手の膝などが太ももに強く当たり、この部位を構成する筋肉に強い刺激や負荷がかかった際に起こる障害です。

原因と症状

ももかんは、コンタクトスポーツによる太ももへの強い衝撃が原因で生じ、その衝撃によって筋や筋膜、周りの血管が損傷し、腫れるなどの症状が出てきます。

ももかんは太ももの前面にある大腿四頭筋の中でも特に深い部分にある中間広筋に生じやすく、この部位が筋挫傷を起こすと、膝関節がスムーズに動かなくなったり、多少なりとも動きに制限が起きるのが常です。

衝撃が加わると一番表面のところが損傷を受けるものと考えてしまいがちですが、実はももかんの場合、深いところにある中間広筋は衝撃と骨に挟まれるために一番損傷しやすいのです。

そして外側の外側広筋の場合にはクッションの役割を果たす筋肉が薄いために損傷を受けやすいことで、強い症状を感じてしままいます。

ももかんのテーピング方法

ももかんのテーピング方法は、大腿部前面にある、

  • 大腿直近
  • 内側広筋
  • 外側広筋
  • 中間広筋

の4つの筋肉から構成された大腿四頭筋の痛みの緩和や補修、筋肉の動きをサポートする役割があります。

※画像では、中間広筋は大腿直筋の下にあるため見えません。

ここではももかんの軽度、中~重度に応じたテーピングの方法をお伝えします。

テーピングは50ミリと75ミリのサイズを用意してください。

軽度

軽度のテーピングでは75ミリのサイズを使用します。

  1. 痛みを我慢できる程度に体重をかけながら膝を曲げる
  2. 患部(バッテンマーク)の上を通るように股関節の付け根からお皿にかけて、少し引っ張るように貼る(お皿にクルッと巻くと効果的です)

軽度の場合にはこれだけでもかなり症状は緩和されるでしょう。

太ももの前も横も同じ貼り方で行ってください。

ポイントは【体重をかけながらテーピングを貼る】です

中〜重度

ももかんの中~重度の場合のテーピングは、

  1. モモカンを受けた部分(黄色シール)の上下5センチくらいを交互にテープを貼る
  2. 1の上から自分にとって右巻きにグルグルと巻く

強く巻きすぎると血管を圧迫してしまいますので、初めのうちは少し緩いと感じる程度から行いましょう。

もし、きついと感じたときにはテーピングの上に少し切れ目を入れると楽になります。

ももかんの対処法

ももかんの対処法を知っておくと、痛みの長期化を予防できます。

スポーツ時によくあるももかんの原因・症状を理解して、万が一の際の効果的な対処法を参考にしてください。

冷やす

冷やす=アイシングは、スポーツの現場では必ずといっていいほど行われているセルフケアのひとつです。

ももかんになってしまったら、できるだけ時間を置かずに早めに氷水を入れたビニール袋などでアイシングをしましょう。

ももかんにアイシングを施すことで、患部の炎症や内出血、皮膚の腫れやむくみを緩和・抑制し、組織の回復にアプローチできます。

アイシングについてはこちらをご覧ください。

アイシングを効果的にする方法、時間と回数、やりすぎない為の注意点

寝る時

ももかんになってしまった際の寝る姿勢は、

  • 患部を下にして圧迫しないこと
  • 下肢をクッションやまくらなどで高くする

ようにすると、痛みや内出血の予防や緩和に効果的です。

セルフ施術

ももかんになってしまった時は、そのままアイシングと固定、そして安静にしているだけでは症状はかえって長引きますので、セルフ施術で楽にする方法もお伝えします。

方法は至って簡単。

ぶつけたところと反対側を指で押すだけなのです。

たったこれだけで打撲の痛みは変化して、程度によっては痛みがなくなります。

詳しい方法はこちらをご覧ください。

自分で早く治す!打撲の対処法とセルフケアの方法をお伝えします!

そしてここからがとても需要です。

ももかんになった部分が太ももの前と横の場合には、膝を伸ばして固定をしていると内出血の影響により、受傷した翌日はさらに症状がひどくなります。

そうならないためにも、固定、安静時には太ももを曲げた状態にしましょう。

膝を最大限曲げることにより

  • 内出血の拡大が防げる
  • 内出血が痛めた組織に入り込みにくくなる
  • 内出血が痛めた組織内に入ると、固まってしまう量を最小限にできる
  • 最小限の内出血により、吸収も早くなる

という利点があります。

内出血を伴うものを早期に改善するには

  • 内出血量を最小限に
  • 内出血が続く時間を最短で終わらせる
  • 内出血を最短で吸収させる

ことが大切です。

そのためにも

  • アイシング
  • 固定
  • 安静
  • 適切な時期からの刺激(運動)

が必要になるのです。

「治るまで待つ」のではなく、《治すために何ができるか》が大切ということを知っておいて下さい。

ももかんの合併症

ももかんの合併症には二つの疾患が挙げられます。

脚全体の中でも特に大きな筋肉である大腿四頭筋の筋挫傷となる、ももかんの合併症を見ていきましょう。

急性コンパートメント症候群

複数の筋肉がある部位では,いくつかの筋ごとに,骨,筋膜,筋間中隔などで囲まれた区画に分かれて存在する。その区画のことをコンパートメントという。骨折や打撲などの外傷が原因で筋肉組織などの腫脹がおこり,その区画内圧が上昇すると,その中にある筋肉,血管,神経などが圧迫され,循環不全のため壊死や神経麻痺をおこすことがある。これをコンパートメント症候群という。
急性コンパートメント症候群:日本救急医学会

急性コンパートメント症候群は骨折や打撲の他に、慢性的な運動を繰り返すことで発症するケースもあります。

骨化性筋炎

骨化性筋炎は、ももかん(打撲)の合併症で起こりやすい障害です

骨化性筋炎は、筋組織の骨化現象によって、骨膜外や筋組織内に溜まった血液でむくみが起こり、そこにカルシウムが蓄積し、筋肉の内部に骨組織が作られてしまうことをいいます。

ももかんになって運動ができるまで

ももかんになって運動ができるまでにはどのくらいの期間を要するのでしょうか。

ももかんの症状を早めに理解し、速やかな応急処置を行うと、治癒までの期間を短くすることことができます。

ももかんになってから運動ができるまでの期間は、

  • アイシング(冷やすこと)
  • 患部の適切な圧迫
  • 安静を維持する
  • 運動を中止する
  • 自宅では患部を挙げて安静にする

などの対処を正しく行っていると、程度の差はありますがほとんどの場合には1~3週間でスポーツができるようになるでしょう。

動けるようになったらストレッチと踏み込む動作を徐々に始めていくと、次第に以前の動きを取り戻せます。

ここで当院の例をお伝えすると…

患者さんがバスケ試合中、ももかんになり受傷後すぐから

  • 歩くと痛い
  • 階段の登り下りが痛みで大変
  • しゃがめない

などの症状がありました。

現場に私が居たため、すぐに処置・施術したところ翌日には普通にしゃがむことができ、無事試合にもフル出場できました。

打撲は初期の対処が本当に大切です。

治るまで待つのではなく、積極的に治るための行動をしてほしいと心より思います。

ももかんになったらすぐに先生にみてもらいましょう。

【おわりに】ももかんになってしまったら

スポーツ時の相手の足や腕が太ももに当たって痛みを感じることはよくあるので、ももかんを楽観してしまう人は意外に多いと現場で感じています

スポーツを楽しむ貴重な時間をなくさず、後遺症や合併症を残さないためにも、ももかんになったら早めの処置と治療を受けてくださいね。


カテゴリ:
タグ:,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,



関連記事