鼠径部の痛み、グロインペイン症候群に自転車は良いのか?ストレッチも紹介!


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皆さんは「グロインペイン症候群」という障害(ケガ)はご存知でしょうか?

この病名はサッカーの中山雅史選手、中田英寿選手、中村俊輔選手などがなったことで有名になった障害です。

サッカー選手が多いのも気になりますよね。

この記事では、グロインペイン症候群についてと、ランニングや自転車・女性との関わり方、ストレッチ・治療方法をご紹介いたします。 

院長:伊藤良太
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グロインペイン症候群とは?

グロインペイン症候群、または鼠径部痛症候群(そけいぶつうしょうこうぐん)といい、「ケガの後遺症や体幹から股関節にかけて運動により鼠径(そけい)部や下腹部、太ももの内側、睾丸の裏周辺に痛みが現れる障害」のことをいいます

起きやすい競技の代表例はサッカーで、そのほか陸上の長距離、ラグビー、ウエイトリフティング、ホッケーに多いとされています。

放置すると階段の登るときに痛みを感じたり、歩くだけでも痛みを感じるようになります。

グロインペイン症候群と女性

グロインペイン症候群はサッカー選手に最も多く、年齢も10〜30代に頻発します。

年齢層と原因を考えると、筋力があり練習や試合でも追い込めるとなりやすい傾向の障害といえるでしょう。

女性に多いのは陸上の長距離選手で

  • 練習量や疲労
  • ホルモンバランス
  • 膝が内側に入るニーインなど
  • 筋力不足

などの複合的な理由でなるものと私は考えます。

練習量と筋力の関係、フォームの改善は防げることですので指導者は注意して練習内容を組む必要があります。

基本的には運動選手がなってしまう障害ですので、練習後にはきちんとしたクールダウンやアフターケアは欠かさずに行いましょう。

グロインペイン症候群になってしまう原因

グロインペイン症候群になってしまう原因は

  • 筋力低下
  • 筋肉や関節の柔軟性低下
  • 体幹と下肢の協調性の不足
  • ケガの後遺症による身体の使い方

と考えられています。

動作では瞬間的なキック動作やランニングやダッシュ、股関節を曲げる、脚で踏ん張る動作などでなりやすい障害です。

考えられる原因は、筋力の低下により、局所に負担がかかり過ぎて組織の炎症から痛みへと移行していきます。

同時に筋肉疲労や関節の柔軟性の低下によっても局所に負担がかかり続けて、ついには炎症を起こすのです。

体幹と下肢の協調性というのは、足だけ、股関節だけの動作によりスムーズな一連の動きにはならず、単一関節や偏った筋肉だけで動こうとするため、力による動作となってしまうのです。

こうなると筋力の低下と似たような現象が起きて、局所に負担がかかり炎症が起きて痛みとなって現れてきます。

いかなるスポーツにおいてフォームが大切なのは、このような無駄な力をなくし効率よく身体を動かすことがケガの防止になるのです。

ケガの後遺症による身体の使い方も、協調性によるものです。

ケガをした後にはかばい動作が出てしまいます。

そのかばい動作は患部の痛みを感じないようにするため、効率の良い動きではありません。

痛みは楽になるけども、動きの質は著しく落ちてしまいます。

痛みがないから完全復帰ではなく、そのかばい動作も無くなってはじめて完全復帰なのです。

リハビリをきちんと行って、動作における変な癖は無くしてから競技復帰しましょう。

グロインペイン症候群の症状

グロインペイン症候群の症状は

  • サッカーのキック動作をすると下腹部から鼠径部が痛い
  • 歩く、ももを上げると股関節が痛い
  • 押すと痛い
  • 脚を外側に開くと痛い
  • 股関節の可動域制限
  • 筋力の低下

のような症状を感じるようになります。

症状が強くなると日常的に痛みを感じ、歩くだけでも痛みがあるので精神的苦痛を伴うでしょう。

グロインペイン症候群で接・整骨院、鍼治療に求める効果

グロインペイン症候群で鍼治療を受ける際の目的としては、

  • 硬くなった筋肉を緩める
  • 関節の動く範囲を広げる

女性の場合には、

  • 周期的な体調の維持・管理

で目的で通院されると良いでしょう。

もちろん痛みを取ることも重要な通院目的となります。

一方的な治療や施術ではなく、きちんと説明があり、話を聞いてくれる先生を選びましょう。

グロインペイン症候群に効果的なストレッチ

グロインペイン症候群になってしまったら鼠径部や股関節、脚の筋肉を緩める目的でストレッチを行いましょう。

ストレッチを行う時間や回数はこちらをご覧ください→間違ったストレッチをしないために、知っておくべきこととは?

では各部位のストレッチをご紹介します。

鼠径部のストレッチ

  1. 片足を前に出し両手は膝におく
  2. 前に出した足に体重をかけて股関節の前を伸ばす
  3. 上半身は前に倒れずに真っ直ぐ

気持ち良さを感じながら行ってくださいね。

骨盤前の筋肉が緩むと足を前に上げる動作と後ろに伸ばす動作が楽になります。

ハムストリングスのストレッチ

  1. 片足はあぐら、もう一方の足は前に伸ばす
  2. 前に出した足に向かって上半身を倒す
  3. 背中が丸まらないように注意
  4. かかとを立てるとさらに伸びる

痛みを我慢しながら行うとかえって筋肉は緊張しますので、無理には行わないでくださいね。

ハムストリングスが緩むと、歩くときに足が前に軽く出るようになります。

大腿四頭筋のストレッチ

  1. 立って足首を掴み、かかとがお尻につける(つくとより効果的)
  2. 上半身は前に倒れないように
  3. 脚を後ろに引くとさらに伸びる

同じ部位のストレッチとして座って行う方法がありますが、座って行うと太ももの股関節に近い部位が十分に伸びませんので、立って行う方を推奨します。

太もも前の筋肉が緩むと踏ん張りやすくなり、足も動きやすくなります。

内転筋(太ももの内側)のストレッチ

内転筋のストレッチは二通りの方法です。

まずは上級編から。

  1. 脚を外側に開き、つま先も外へ向ける
  2. 両肘を床につけていく

そもそも股関節が硬いと床に両肘は着きません。

無理して行わないでくださいね!

次は簡単は方法です。

  1. 少し高さのある台に片足を乗せる
  2. 伸ばした足のかかとは天井へ向ける
  3. 伸ばした足を内側に倒していく

床で行う方法もありますが、少し高さがあると簡単に伸ばすことができます。

安定性を保ちやすいように、なるべく硬いものの上に足を乗せましょう。

かかとの向きを変えると、太ももの内側の筋肉である内転筋の場所を変えることができます。

内転筋が緩むと、足が真っ直ぐ前に出てスムーズな歩行となります

腹筋のストレッチ

  1. 床に寝て下腹部を離さないように肘を伸ばす

これだけです。

お腹で息を吸うと腹部が膨らむのでさらにストレッチの効果が高まります。

ですが、腰に負担をかけ過ぎないように腰を反る意識ではなく、肘を伸ばす方に意識を向けましょう。

腹筋が伸びている感覚があれば、意識を腹筋に向けるとさらに伸びるようになります。

腹筋が緩むと背筋が伸びて効率の良い動きができるようになります。

ストレッチはムキになって行ってはいけません。

そして、痛みに耐えながらも逆効果ですので注意してくださいね。

グロインペイン症候群の治療法

グロインペイン症候群の治療法と流れをご紹介します。

運動時に痛みがあるときには運動は中止して安静が必須となります。

日常的に痛みがあるようなときには完全に運動は中止となり、その後はアイシングや温熱療法、内服薬や注射などで経過をみながら徐々に運動を開始していきます。

同時に筋力不足や硬くなった筋肉を緩めたり、関節可動域の制限の改善が必須です。

復帰の時期を見誤ると再発のリスクも高いことから、慎重な経過の観察と評価が必要となります。

運動の中止やリハビリを行っても改善が見られない場合には、炎症による血管の異常を疑う必要があります。

そのようなときにはカテーテルなどの使っての治療が必要になりますので、スポーツ専門の医師に診てもらいましょう。

グロインペイン症候群のリハビリ

グロインペイン症候群のリハビリとしてのランニングや自転車との関わり方についてお伝えします。

ランニング

日常的に痛みがなく、ランニング動作でも痛みがない場合には、初めは時間と距離を短く設定し、翌日の身体の変化を正しく評価して、症状に変化がなければ徐々に運動の強度を上げていきましょう。

ですが、必ずウォーミングアップとクールダウンは行うこと。

グロインペイン症候群の原因の一つである筋肉の硬さは、運動開始時に最も硬く、疲労が溜まると硬くなります。

ケガをした経験を活かすには、予防を習慣化できるような意識改革も必要となるでしょう。

自転車

自転車は踏ん張る動作で痛みがなければ始めましょう。

グロインペイン症候群を抱えていると一番負荷がかかるのが、股関節が曲がった状態で踏み込むときです。

赤印のように踏み込み動作は股関節の負担になる

この動作で痛みがないのなら、下半身の筋力トレーニングとして自転車に乗っても構わないでしょう。

距離と時間、強度などは当日と翌日の身体の評価を元に決めていきます。

決して無理は禁物です。

グロインペイン症候群を予防するには

グロインペイン症候群を予防するには、原因となる要素をできるだけ排除することです。

練習量の調節により筋力低下とオーバーユース(使い過ぎ)を防ぎ、練習後にはクールダウンを行う時間を必ず設けること。

フォームの確認と改善で身体の協調性を獲得して、さらに良い動きを身に付けましょう。

ケガをしたならば、ケガをする以前の動きを取り戻してから全体練習に戻るのです。

練習の積み重ねでグロインペイン症候群となってしまいますので、何か身体に異変を感じたら我慢せずに相談して、早く良くなるとための行動をしましょう。


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